その他の研究事業(令和3年度)

研究代表者

冨永 健太郎

研究課題

戦後日本の知的障害者施設における教育と福祉の展開に関する基礎的研究

研究結果の概要

戦後日本の知的障害者施設で行われた実践のなかにみられる教育と福祉の接続と展開の実態を把握するために、戦後の知的障害者福祉を牽引したとされる近江学園・糸賀一雄関係史資料(とくに未公開・未着手資料)と、近江学園関係者と特に深い親交のあった特殊教育・福祉関係者の遺した史資料の整理・リスト化を行った。具体的には、以下の2点について研究を行った。(1)コロナ渦により研究出張が不可能となったため、平成25年3月に実施した故・三浦了社会福祉法人大木会理事長(当時)らとの「糸賀一雄宛書簡(糸賀一雄遺族から社会福祉法人大木会に寄贈された史料)」の確認作業を録音したものの文字起こしを行い、昭和30年6月から11月にかけての78通について、消印、発信者の属性、糸賀との関係、内容を確認した(共同研究者:蒲生俊宏担当)。(2)社会福祉法人紫野の会創設者である手塚芳美(元東京練馬区立旭丘小学校特殊学級教諭)の遺した資料文献を収集し、整理・リスト化を行い、手塚が特殊学級教諭時代に用いた教育方法を記した資料や当時の著名な特殊教育・福祉関係者との交流を証明する資料を確認した(研究代表者:冨永健太郎担当)。
なお、同研究は、戦後日本の知的障害者福祉の整備・拡充が一方的に福祉(厚生省)主導で行われたのではなく、定説を凌駕するより一層の制度上の区分によって生じた葛藤を抱えながら、文部省管轄の特殊教育との連続/非連続という複雑な経緯を孕んで展開したことを立証すべく行われた。

研究成果の活用・提供予定

日本社会事業大学研究紀要に研究成果を掲載予定である。