社会福祉実践研究(令和3年度)

研究代表者氏名

内田 宏明

研究課題

「学校の福祉化」に関する研究

研究結果の概要

本研究は、スクールソーシャルワーカー(以下SSW)の配置が進む中で積み重ねられてきた教育と福祉の協働の結果、「学校の福祉化」が果たして進んだのかどうか、検証することを目的とする。今年度については、SSW活用事業の現状を明らかにするため①文科省の「令和元年度SSW活用実践事例集」の内容を詳細に分析、整理した。その結果、「効果的な研修内容」「活用事業の成果」「活用事業の課題」「活用事業の課題の原因」「活用事業の課題の解決方法」の5つの項目が抽出された。②この5項目に基づいた質問項目を設定した郵送質問紙調査を東京都内62区市町村に実施し、29区市町村から回答を得た(回収率46.8%)。その結果、効果があったされた研修内容では、課題としては「不登校」、連携については「他の機関との連携」、技術として「アセスメント」「ケース会議」「支援技術」が多かった。活用事業の成果としては、「SSWの相談、対応が増加し」しており、「他機関連携した支援」「学校と家庭を繋ぐ支援」によって、「家庭環境の改善」「保護者との信頼関係の構築」に成果をあげているとされたのが多かった。活用事業の課題として、「学校や関係機関へのSSWの周知」をさらに図ること、「生徒や保護者からの拒否」があること、非常勤のため「勤務時間の確保」が困難であり、「経験豊富な人材確保」が難しいことなどが多かった。これらの背景には限定された予算の中での事業であることの指摘が多かった。また、学校だけでは「対応が困難なケースが増加している」ことを8割以上が上げた。

研究成果の活用・提供予定

学会における研究発表(日本社会福祉学会、学校ソーシャルワーク学会等)のほか、SSWの研修の際に研究結果を活用しようと考えている。