社会福祉実践研究(令和4年度)

研究代表者

内田 宏明

研究課題

清瀬市における子どもの貧困支援研究

研究結果の概要

本研究は、コロナ禍を受け、子育て家庭の経済状況はなお一層の困難に直面している。その中で、各自治体は限られた財源の中、支援策を模索し続けているが決め手は存在していない。この現状で、子どもの貧困によるニーズ把握及び個別的支援に関しての新たな方法論を確立することが求められており、本研究の目的とする。
本研究は、今年度については福本社会福祉士事務所およびNPO法人ピッコロに加えて、日本社会事業大学学生有志に共同実践研究に加わっていただき、実践研究的取り組み(アクションリサーチ)として行った。フィールドとして、清瀬内3学童クラブおよびおひさまネットワーク等の市内の子どもの居場所(子ども食堂、学習支援教室、フリースペース等)の取組を行った。
今年度については、コロナ禍の中での取組となったため、大きな制約を受けることとなってしまった。が、以下のような内容に取り組むことができた。

  1. 学童クラブケース検討(学童クラブ職員):3学童クラブ各1回。
  2. 学童クラブ運営委員会:3学童クラブ各2回計6回。
  3. 市内における子ども食堂、学習支援教室、居場所(フリースペース)における子どもとの交流活動(学部1,2,3,4年生):おひさまネットワーク、第6小学校、第4中学校、旭が丘教会等
  4. 市内における新たな子ども食堂、学習支援教室、プレーパーク等の社会資源開発(学部3年生):北多摩クリニック、中央公園遊びの会、野塩地域きこりぐま

これらの取組の中で、1)学童クラブがコロナ禍の中で真摯に子どもに向き合いながらも過重な負担を強いられていること、2)その中でさらなる個別支援の専門性向上が求められていること、3)公的なサービスだけでなく民間融資の柔軟な地域資源である子ども食堂、学習支援教室等の地域の居場所のニーズが高まっていることが、明らかになってきている。

研究代表者氏名

佐竹 要平

研究課題

情報共有ツールを活用したCOVID-19感染症対策の情報発信と福祉キャリアの支援ニーズの実態調査及びネットワーク構築に関する研究

研究結果の概要

本研究では、本学の学生支援課・本学の同窓会と共同し、セキュリティ対策が高いSNS(Slack)を活用し、福祉キャリアに関する調査や情報発信を行っている。
在校生・卒業生の福祉キャリアに関する支援ニーズの実態を明らかにするとともに、福祉キャリア形成のための支援を行うことを目的としている。
また、新型コロナウイルス感染症の広がりは、本学の卒業生・修了生の多くが従事する社会福祉専門職の現場に多大な影響を及ぼしている。今般の新型コロナ禍で、介護・福祉の現場が置かれている状況や、求めている対策を把握し、状況を明らかにすることも目的としている。
2年目は、SNS(Slack)による求人情報の発信だけでなく、調査も行っている。
2022年7月に「情報共有ツールを活用したCOVID-19感染症対策の情報発信に関する調査」を行い、回答数が15件であった。
2023年1月に「本学卒業生・修了生のキャリアに関する調査」を行い、回答数が14件であった。
最後に4月に「「日本社会事業大学福祉キャリア支援センター」の参加者満足度調査」を行い、回答数が10件であった。

研究成果の活用・提供予定

研究成果はSNS(Slack)で情報共有を行っている。
また、『社会事業研究』に投稿を計画している。

研究代表者氏名

冨永 健太郎

研究課題

施設で暮らす発達障害がある人のための切れ目のない地域移行・定着スキームの開発

研究結果の概要

国立障害者リハビリテーションセンター西牧謙吾前病院長(2023年3月退職)の協力を経て、国立のぞみの園、社会福祉法人けやきの郷における地域移行の課題を抽出し、高齢化・重度化や重篤な行動障害への対応の難しさに加え、地域の受け入れ体制に課題があることがわかった。今後は入所前提ではなく地域支援、生まれ育った地域で暮らすことを念頭においた地域ベースの支援体制構築がなされる必要があることから、地域移行・定着のスキーム開発と同時進行で地域の整備を行うことの必要性が看取された。

研究成果の活用・提供予定

動画資料(のぞみの園、けやきの郷)に冨永によるかりいほ(社会福祉法人紫野の会)の資料を文字に起こし、西牧謙吾氏のコメントおよび展望を加えた報告書を作成、出版予定である。2021年度日本老年社会科学会第62回大会ポスター発表(6月12日~27日WEB配信)「在宅における介護ロボット導入の現状と課題ー訪問介護事業所への郵送調査からー」