厚生労働省老人保健健康増進等事業等(平成24年度)
『認知症者の要介護認定に係わる介護の手間判定指標の開発~介護の手間に関する評価尺度の開発~』
採択テーマ
『認知症者の要介護認定に係わる介護の手間判定指標の開発~介護の手間に関する評価尺度の開発~』
研究者代表
大学院特任教授 今井幸充
目的
本研究事業の目的は、認知症者をはじめ認知機能障害を伴う高齢者に対する「介護の手間」を簡便に測定できる尺度を開発することである。それにより、現在の要介護認定調査において、常に議論されている認知症者の「介護の手間」を、容易にかつ一定の基準に従って評価できることが期待できる。
平成23年度は、認知症者の生活実態だけでなく、介護する側の視点も取り入れた認知症者にかかる「介護の手間」の評価尺度を開発することを目的に、評価票の原案を作成した。そこでは、「介護の手間」を「認知症者の状態像」と「介護者の負担感」で構成されるという操作的概念を定義とし、個々の「認知症に伴う症状と行動」の種類と頻度による介護者の負担感の違いから「介護の手間」の程度を得点化する評価票の原案を提案した。
そこで、平成24年度の本研究事業の目的は、提案された「認知症者の介護の手間評価票」の信頼性と妥当性の検証を行い、その評価票の有用性を検討するものである。
事業結果
「介護の手間」を介護に要する時間として一定のロジックを用いて評価した要介護度は、時間というものさしでその程度を測定しているが、測定方法が複雑で、臨床では容易に用いる事ができない。本研究で開発した「認知症者の介護の手間評価票」(以下「介護の手間評価票」とする)は、認知症に見られる症状や異常な行動の頻度と、その頻度の重み付けに、症状に対する介護者の「介護の大変さ」を用いて「介護の手間」を得点化したものである。ここで開発した「介護の手間評価票」は、介護者の属性や認知症者の年齢などに影響されず、評価者間の一致率や他の尺度との併存的妥当性が検証されたことから、より幅広い視点から認知症の介護の手間を客観的に測定している、といえる。それ故、本評価票は認知症者の状態増のみならず介護の実態を客観的に測定できることが可能である。
報告書
『定期巡回・随時対応サービス・小規模多機能型居宅介護の地域の実情に応じたサービス・経営モデルの研究』
研究テーマ
『定期巡回・随時対応サービス・小規模多機能型居宅介護の地域の実情に応じたサービス・経営モデルの研究』
研究代表者
福祉マネジメント研究科 准教授 藤井賢一郎
目的
- 巡回・随時訪問対応サービスと小規模多機能型居宅介護について、地域の実情を踏まえつつ、サービスと経営のモデルのパターン化を試みる。
- 巡回・随時訪問対応サービスと小規模多機能型居宅介護の機能を果たすための経営のあり方について分析する。
事業結果
- 事例調査は5事業所について行い、巡回・随時訪問サービスと小規模多機能型居宅介護のサービスと経営のパターンとあり方について分析を行った。
- アンケート調査は、全国のすべての小規模多機能型居宅介護事業所を客体として(3429か所)郵送法により行い、630事業所の回答をもとに、全国の小規模多機能型事業所の実態を明らかにするとともに、通常の事業の実施地域の設定による事業所の特徴、および経営的に良好な状況にある事業所の特徴を明らかにした。