教育目標・3つの方針
教育目標
日本社会事業大学は、戦後まもなく、日本で唯一のソーシャルワーカー養成専門機関として誕生した。社会・経済・文化的な背景を踏まえながら、人間の行動と地域社会及び社会制度等に関する諸科学の総合的な教授研究を通して、高潔なる人格と豊かな思想感情を培い、社会福祉の理論と技術を体得させることによって優秀な専門家を養成することを目的とし、広く社会福祉の増進に直接寄与することを使命とする。
建学の精神である「①博愛の精神に基づく社会貢献(忘我友愛)、②社会福祉の理論を窮め、社会福祉実践を常に大切にすること(窮理窮行)、③異なる文化、異なる民族、異なる国籍の人々と共に生きる社会の創出(平和共生)」を体現する優れたソーシャルワーカーを多く輩出するために、ソーシャルワーク実践に必要な基本的な態度・知識・スキルを卒業時までに身につけることを社会福祉学部のねらいとする。
少人数教育の特徴を活かし、個別指導を徹底することで、人格の形成と豊かな教養を修得できる質の高い学士課程教育を展開するとともに、ソーシャルワークの専門職として、誰もが生きやすい社会の実現に向け、多様化・複合化・複雑化する地域の生活課題と国内外の社会問題に対応し、他の専門職や地域コミュニティと協働し、福祉分野をはじめとする各施設・機関等と連携することができる態度・知識・スキルを涵養する。
学生は、講義、演習の他、学内にとどまらない実習体験のなかで、周囲の多くの人々とともに研鑽を積み、学生自身が主体的に学びを深め、幅広い生活課題と社会問題を解決できる力を養うことを目指す。
3つの方針
日本社会事業大学では、教育目標、建学の精神、本学の社会的使命に基づき、教育・研究活動に関する三つの方針を3ポリシー(ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシー)として定めている。
- ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与の方針)では、大学を卒業する際に、身につけておくべき能力や態度・知識・スキルを示している。
- カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)では、身につけておくべき能力や態度・知識・スキルを大学教育の中でどのように学んでいくかについて示している。
- アドミッション・ポリシー(入学者受入の方針)では、教育の特性に合わせて、入学を希望する方に必要となる資質を示している。
具体的な3ポリシーについては以下の通り。
ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与の方針)
建学の精神を体現し、誰もが生きやすい社会を実現する優れたソーシャルワーカーとして以下の基本的な態度・知識・スキルを身につけ、本学の所定の単位を修得したものに学位を授与する。
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人文科学・社会科学・自然科学の諸科学について理解し、豊かな教養がある。
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ソーシャルワークに関する基本的な態度・知識・スキルを身につけ、卒業後ソーシャルワーカーとして実践をしていくために必要な力がある。
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すべての人にとって、尊厳が保持され自立した日常生活を営むことのできる社会の実現に貢献することへの強い動機と意欲があり、その達成に対する使命感を有し、地域コミュニティと社会構造に働きかけることができる。
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基本的人権を尊重する価値観を有し、社会正義に対して強い関心がある。
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多様化・複合化、複雑化している生活課題と社会問題に対して、論理的・科学的・批判的な思考に基づいて解決していく力がある。
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課題を包括的に理解するために、多角的な側面から状況分析する力がある。
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一人ひとりが直面している生活課題を理解し、直接的あるいは間接的な関わりを通して、その人自身が問題を主体的に解決することをサポートしていく力がある。
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自己と異なった価値観・世界観を理解し、受容するため、自己の価値観・世界観と向かい合い、異なる価値観・世界観を尊重することができる。
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一人ひとりのニーズやおかれている環境の違いを考慮しつつ、基本的な態度・知識・スキル、また社会保障などの各種制度における社会サービスを活用し、生活の質(QOL) の向上に向けた支援やウェルビーイングを高めることにつなげる力がある。
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卒業後、自らの特性を活かした専門職となり、生涯にわたって研鑽を積み、キャリアを形成していくとともに、絶えず自らの実践を振り返り、新たな実践を創造していく力がある。
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将来、他の専門職や地域コミュニティと連携・協働し、社会福祉領域において指導的な役割を担う社会的な責任感を有している。
カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)
社会福祉学部では、以下のような方針に基づいてカリキュラムを編成し、学習成果の評価を行っている。
- 社会福祉に関する態度・知識・スキルを体系的に学ぶため、講義、演習、実習の多様な形式の科目を設置し、社会福祉専門職としての態度・知識・スキルを育成するため、「ソーシャルワーク実習I・II」と「卒業研究」を必修とする。
- 初年次教育の一環として「アカデミック・プランニングI」を設置し、ポートフォリオ等を活用して学生の学修のデザインや記録を支援する。
- 一般教育科目では、人文科学・社会科学・自然科学の基礎に関する科目を設置し、幅広い教養の修得を通して、人格の形成と豊かな教養を身につけることを目指す。
- 社会福祉士国家試験受験資格取得に要する科目を必修とし、1年次から4年次にかけて体系的にソーシャルワーカーとしての基本的な態度・知識・スキルを修得できる科目配置とする。
- 学習成果の評価の方法としては、授業科目の到達目標を授業計画書(シラバス)に示し、達成度に応じた評価を行うことにする。
- 演習及び実習指導は少人数制とし、きめ細やかな指導によりソーシャルワーカーとしての実践力を養う。
- 「ソーシャルワーク実習I・II」及び「卒業研究」では、ソーシャルワークについて記述・報告し、生活課題や社会課題と向き合いながら実践を展開する力を修得する。
- 専門教育課程へのレディネスを測定し、教育効果を高めるため、3年次進級への判定を実施する。
以上の方針に基づき、学生の状況に応じた情報保障やコミュニケーション支援を行い、ICTも含めて誰もが支障なく教育を受けることができる環境整備に努める。また、国内外の文化や特性、性的指向やジェンダー・アイデンティティ、障がいの有無、社会経験等の学生の多様性にも広く門戸を開き、修学支援ネットワークを組織して、きめ細やかな学習支援を展開する。
福祉計画学科
将来、福祉経営や政策の専門家を養成する福祉経営コースと、地域福祉の計画・環境整備・実践に従事する専門家を養成する地域福祉コースを設置している。
- 福祉経営コースでは、①生活課題と社会問題を把握し、その解決を支援するために必要な法・経営・計画・政策について、実施上のシステムや手法等と、②福祉ニーズをもつ人々への必要なサービスに関する情報提供、利用援助、権利擁護等の学修に取り組む科目を配置する。
- 地域福祉コースでは、①福祉ニーズをもつ人の在宅生活の可能性を追求する地域と自治体の福祉計画、②個人や地域の福祉ニーズの把握、目標設定、ネットワーキングやケアマネジメント、サービス提供システムの開発、計画と実践に関する評価、③保健・医療・教育・司法・労働・建設などの分野との連携、④福祉教育や住民参加によるまちづくりの学修に取り組む科目を配置する。
福祉援助学科
各種の福祉分野における生活課題と社会問題の解決につながる直接的な支援と支援環境の整備についての態度・知識・スキルをもつ専門家を養成する。保健福祉コース、子ども・家庭福祉コース、介護福祉コースの3コースを設置している。
- 保健福祉コースでは、様々な生活課題、心身の健康や社会生活上のニーズを把握し、保健医療専門職や地域コミュニティと連携・協働して福祉ニーズへの支援に当たる専門的な態度・知識・スキルの学修に取り組む科目を配置する。
- 子ども・家庭福祉コースでは、子どもの発達や現代の家庭環境などを踏まえ、子どもと家庭を支援するための専門的な態度・知識・スキルの学修に取り組む科目を配置する。
- 介護福祉コースでは、要介護状態にある人々の生活課題と関連する社会問題を解決し、その人々が望んでいる生活を実現するために必要な直接的な支援、資源を活用し環境を整備するための専門的な態度・知識・スキルの学修に取り組む科目を配置する。
アドミッション・ポリシー(入学者受入の方針)
求める学生像
日本社会事業大学社会福祉学部では、自ら幅広く現代における生活課題と社会問題を探求し、向き合い、解決する力を養うことや、その努力を重ねることを惜しまない学生を求めている。
選抜試験においては、建学の精神を含む教育目的とディプロマ及びカリキュラム・ポリシーに応じて、教科・科目を設定しており、以下のような学生の入学を期待している。
- 勉学のために必要な学力を充分に備え、ソーシャルワークを主体的に学ぼうとする意欲がある。
- 建学の精神を理解し、現代における生活課題と社会問題に向き合おうとする意欲がある。
- 誰もが生きやすい社会を構築していこうとする意欲がある。
入学前までに修得すべき能力
入学前に以下の力を身につけている人を高く評価する。
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高校までの学びから基礎的な教養と学力を有している。
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コミュニケーションにおいて他者を尊重し、コミュニケーション能力を高めようとする意欲がある。
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生活課題と社会問題に関心があり、課題解決に向けて取り組む意欲がある。
選抜方法
以下のように入学者の選抜を行う。
- 総合型選抜では、多様なボランティア活動等を継続的に行ってきた者を対象に、事前に提出されたレポートを含む書類審査(第一次選考)を行ったうえで、面接試験及び小論文試験において社会的な問題への関心や考える姿勢と問題解決への意欲やコミュニケーション能力を評価する(第二次選考)。
- 学校推薦型選抜では、高等学校長の推薦を受けた者を対象に、公募推薦は教養試験や小論文試験により高校までの基礎的な学びを評価するとともに、面接試験では提出書類を用いながら社会的な問題への関心や考える姿勢と問題解決への意欲やコミュニケーション能力を評価する。指定校推薦は提出書類を用いながら社会的な問題への関心や考える姿勢と問題解決への意欲やコミュニケーション能力を面接試験によって評価する。
- 一般選抜では、選抜試験によって、入学前に修得すべき能力や基礎的な知識・技能を評価する。
- 大学入学共通テスト利用選抜では、本学独自の個別学力検査は実施せずに、3教科3科目(500点満点)の大学入学共通テストの成績をもって入学前に修得すべき能力や基礎的な知識・技能を評価する。
- 私費留学生選抜では、教養試験(英語を含む)、小論文(日本語)試験ならびに面接試験によって、入学前に修得すべき能力や基礎的な知識・技能ならびに社会的な問題への関心や考える姿勢と問題解決への意欲やコミュニケーション能力を評価する。また併せて、ソーシャルワーク実習と卒業研究に臨むことができる日本語能力を評価する。