教員 × 院生対談

実務を通して直面した福祉的課題に
研究に向き合うことでアプローチしていく

渡久地:私は沖縄県内の社会福祉協議会で、生活困窮世帯への生活福祉資金の貸付業務に携わっています。これまでの勤務を通して、同じ社会福祉協議会の中でも生活上の課題に対して個別支援を担う部署と、地域支援を担う部署が連携できていないという現場の課題を見聞きしてきました。しかしながら、生活困窮に陥った世帯の背景はさまざまで、例えば孤立していて助けを求められない方々には個別支援の他に地域支援も必要になってきます。この問題を解決するにはコミュニティソーシャルワークのアプローチが必要だと考え、職場の研修でこの課題についてお話しくださった菱沼先生の下で学ぶため、研究大学院への進学を決意しました。

菱沼:社会福祉協議会の中で個別支援と地域支援の部署同士は連携していないことが多く、これは沖縄県だけでなく全国的な問題となっています。この課題に焦点を当てた研究はまだ少ないので、先駆的なチャレンジとなる研究テーマであると思います。

渡久地:指導教員である菱沼先生には、自分の研究における疑問点や不安などを率直に相談させていただき、的確にそして優しく丁寧にご指導いただき感謝しています。また、私が沖縄に居住していることにご配慮くださり、オンラインを活用していただいたおかげで、遠方からでも研究を進めることができていると感じています。

菱沼:研究大学院では、自身の実践を発展させるだけではなく、広く日本全体の福祉をどう前進させるのかといった研究成果の波及性を意識することが大切だと思います。渡久地さんは今回の研究を経て、どんな取り組みをしていきたいと考えていますか。

渡久地:まずは修士論文を完成させ、研究成果を地元の現場の方々へ報告し、還元できたらと考えています。現在は実践者として現場での経験を積んでいるところですが、博士前期課程が修了できたら次は後期課程に進学し、教員や研究者を目指していきたいです。最終的には地元沖縄をフィールドに、自分自身で実践と研究が行える事業所兼研究所を立ち上げ、沖縄や日本の地域福祉に貢献できる実践的な研究者になることが目標です。

対談

博士前期課程 渡久地 美智留 さん(左)×菱沼 幹男 教授(右)

※インタビュー内容は取材当時のものです。