教員 × 院生対談
自身の問題関心を明確にして他者に伝えることで
切磋琢磨でき、研究が深化していくことを実感
内田:星さんはユースセンターに焦点を当て、家庭や学校以外に居場所を求めることのできない利用者がユースセンターとの出会いから居場所形成される過程を把握し、その中でもロビーワークがどのような役割を果たしているのかを明らかにすることを目標に研究を進めていますね。
星:はい。私は大学時代に教育学の視点から中高生の権利を中心に据えた居場所づくりとは何かを調べていく中でユースセンターを知りました。そこでの活動を調べていくにつれて、教育だけでなく福祉という別の視点からも子どもの居場所について知見を深めたいと考えるようになり、大学院への進学を決意しました。
内田:ゼミでは、教員の側からこういうことをやりなさいと課題を与えるのではなく、入学時に自分が研究したいと考えていたテーマを掘り下げていくことを重視しています。ゼミ生が自分の問題関心に基づいて行うレポートを軸にゼミ生同士で議論を深めてもらい、私からはテーマをいかに深掘りしていくかにあたってのアドバイスをさせてもらっています。
星:以前、私が先行研究の論文について概要のみをレポートしたことがあり、その際に先生から「自分の考えはどう?」と尋ねられたことがありました。自分が論文を読んでどういう考えを持ったのかを先行研究で出された知見と対照し、同意する点と相違する点を明らかにしなさいとアドバイスをいただき、知識を羅列するのではなく自分の考えを固めていくために先行研究を活用することを心がけるようになりました。
内田:私は、皆さんに自分の問題関心を明確にした上で、何を明らかにしたいのかを他者に伝えることができるようになることが大切であると考えています。そのため、ゼミにおいてはただ単に報告するのではなく、質疑応答や論点を設定しての討議を重視しています。
星:自分一人での探求活動には限界がありますが、専門家としての先生のアドバイスや他のゼミ生の意見を通して、自分の研究がどんどん深化していくところに研究大学院で学ぶ面白さを感じています。これからさらに研究を進め、今後の若者支援促進の一助になれればと考えています
内田 宏明 准教授(左) × 博士前期課程 星 海月さん(右)
※インタビュー内容は取材当時のものです。