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- 研究大学院研究者インタビュー
- 研究者インタビュー 佐々木 貴雄 准教授
医療保険をはじめとする
社会保険を深掘り。
社会保障制度の在り方を問う
- 研究大学院 社会福祉学研究科
- 佐々木 貴雄 准教授
- Sasaki Takao
- [研究テーマ]
- 社会保障、社会政策
- Researcher Interview
- 私は社会保障の中でも医療保険を中心に研究しています。特に関心があるのは医療保険を運営する保険者(※1)の在り方です。
- 日本では被用者(雇用者)を対象にした健康保険が大正時代に作られました。1961年には国民が数種ある医療保険のどれかに加入することになる「分立型国民皆保険体制」が確立しました。しかし、高齢化や医療費の増加、非正規雇用やフリーランスで働く人の増加などで、加入区分やそれらがもたらす格差が問題になり、制度が時代に合わなくなってきています。この現状を今後どうしていくのか、医療保険だけではなく、社会保障制度全体の動向も踏まえながら考えています。
- また、日本には75歳以上の高齢者が加入する後期高齢者医療制度という仕組みがありますが、これは世界的に見れば特殊です。なぜこのような制度が作られたのかを研究し、今後の制度の在り方につなげていきたいです。
- いま関心があるのは「貧困に対する社会保険の効果」です。社会保険は貧困を防ぐ機能(防貧)があるといわれていますが、どれほど貧困を防ぐ効果があるのでしょう。もちろん高齢者の貧困など個別具体的な問題は多く議論されていますが、130兆円を超えるお金を社会保障に使いながら相対的貧困率が高いのはなぜか。そしてどのような方法で明らかにできるのかも含めて考えていくつもりです。
- 院生のみなさんは、まずしっかりと先行研究を読み、テーマとする制度の現在や歴史的経緯について理解した上で、研究を進めてください。熱意も大切ですが、主張ありきでは見るべきものが見えてこないことがあります。
- 私の研究はこれまで多くの人たちに支えられてきました。それは指導教員の研究や学内の先生方だけではなく、院生仲間や、学会や外部の研究会で会った人々も含みます。社会福祉を学ぶなら現場とのかかわりも大きいでしょう。そのような関係性も大事にしてください。
- ※1...保険の運営主体。
- ※内容は取材当時のものです。