SOCIAL WORKER REAL
ごちゃまぜの人間関係が生きる喜びを呼び覚まし「その人らしさ」を取り戻していく
伊藤 英樹 さん
NPO法人井戸端介護 理事長(千葉県)
1995年 児童福祉学科 家族福祉コース 卒業
※卒業時の学科名を記載。現在の福祉援助学科になります
- 取得している資格
社会福祉士
法律に基づきながらも形にとらわれない支援を
千葉県木更津市にて2002年に「NPO法人井戸端介護」を設立し、理事長を務めています。宅老所と呼ばれていた事業形態を、介護保険法や障害者総合支援法に基づいた小規模の通所施設として運営。ほかの施設でのサービスを断られた認知症の高齢者や、統合失調症、失語症、さまざまな悩みを持つ若者、自分自身も悩みを持つスタッフ。こういった人々をなるべく形にとらわれず同じ場に集めて、"ごちゃまぜ"にして、出会った人同士で支え合いができるようなコミュニティー活動を行っています。
合理的な手法を排除し有意義に暮らす環境を実現
この活動の根底は、私自身が生きづらさを感じていたことにあります。また、介護保険制度施行後、さまざまな民間事業者が参入して多様なサービスを提供できるようになる一方、マニュアル的な運営が行われるようになりました。それによって生じる支援システムの対象とならない人たちを、丸ごと支援していきたいと考えたのです。ここでは、介護する人たちも明るさとやりがいを見出し、高齢者と一緒に有意義な日々を送っています。持って生まれた環境や能力の差による違いはあれど、誰もが「生きていて良かった」「生まれてきて良かった」と思える一瞬に出合えることが私の原動力です。
制度の枠だけにとらわれず「人」として向き合う
人間はどうしようもないものなんだと理解してくれている人たち、自分の考えていることを認めてくれている人たち、自分がやっていることを必要としている人たち。この施設を運営するにあたり、地域や周辺の理解が得られているのはとても大きいことだと感じます。弱き者を助けることができない社会に、平和な社会は存在しません。そういった、世の中おかしいな、変えたいなと思っている人こそ、福祉の現場に必要な人材。現代の社会をそのまま受け入れるのではなく、より良い方向へ変えていけるように考えていく。そんな風に思ってもらえる仲間が増えることを切に願っています。
※掲載内容は取材当時のものです。