SOCIAL WORKER REAL
患者や家族の利益につなげながらMSWの存在価値を高めていく
門岡 高太郎 さん
医療法人社団東光会 戸田中央総合病院 勤務(埼玉県)
2002年 福祉援助学科 老人福祉コース卒業
※卒業時のコース名を記載。現在の介護福祉コースになります
- 取得している資格
社会福祉士、認定医療福祉士
関係機関に働きかけ誰もが医療を受けられる環境を
急性期病院で、医療ソーシャルワーカー(MSW)として勤務しています。仕事の約9割が退院支援で、経済的な問題に関する相談、がん相談などを受けています。また、部署の責任者として、組織運営や部下の指導・育成や、グループの医療福祉部という組織で採用や研修の企画に携わっています。特に急性期病院は、多様な生活者に対する支援を経験でき、その方々の人生や価値観に触れられる場所。例えば、戸籍上では亡くなっているとみなされる方や、健康保険証もお金もない、という方に介入することもあります。このように、教科書通りではないケースでも、適切な関係機関と連携して、誰もが安心して医療を受けられるような環境づくりを推進していくのが、私たちの役割だと思います。
MSWの存在価値を高めて仲間とともにアクションを
今、力を入れて取り組んでいることは、周辺のMSWとの顔の見える関係づくりです。そのため、自らが音頭を取って定期的な研修会を開始しました。2014年の開始時は7機関の参加でしたが、4年が経過した今では20機関を超えるまでに成長しました。情報交換をしながら、地域に何かアクションを起こしていきたいと議論しています。また、MSWとしての専門性を高めていく場として「公益社団法人埼玉県医療社会事業協会」の理事としても活動しています。常に学ぶ姿勢を忘れず、一人ひとりの支援の質を高めていくこと。これこそが、MSWの地位を築くために大事なことだと感じています。
自身の根幹となる「福祉観」を養ってほしい
高齢者が急速に増え続けている反面、病院の病床数は国の主導で削減されつつあります。そのため、看取りの場が病院だけだと限界に達するのは必然。地域医療に携わる者として、どのように地域と連携していくべきかを模索しています。以前はお金にならないといわれていたMSWですが、偉大な先輩たちが国に働きかけてきた結果、「社会福祉士」がコストを算定できる時代になりました。医療の中で福祉職としてその専門性をしっかりと発揮していくために、大学で福祉の基礎や理念を学び、実践力を養ってください。
※掲載内容は取材当時のものです。