教員 × 院生対談
さまざまな視点からの助言により実践経験が言語化されて
整理されていく過程を通して、ゼミの醍醐味を実感
渡辺:私は法人を設立して精神障がい者の就労支援事業に携わっていましたが、児童虐待の事件に衝撃を受けたことをきっかけに地域の中で子育て世帯の役に立ちたいとの思いが強くなり、職場に「親子教室」を開設。7年間の実践を通して多くの母子に支援を提供してきましたが、これまでの実践を通じて得た経験と知識をより広く社会に還元したいと考えるようになりました。そこで、専門職大学院で実践経験の言語化と整理ができればと考え、進学を決意しました。
北川:専門職大学院を選ばれる方で、自身の実践を言語化して伝えたいと考えて来られる方は多いです。渡辺さんもこれまでの実践を振り返り、言葉にしていこうということだったので、私からの一方的な指導にならないよう、渡辺さんの思いを引き出して形にするお手伝いをしたいと考えていました。
渡辺:はい、とても苦労しました。しかしながら、それぞれのエピソードを具体的に言語化することで、他者と共有できるようになり、ノウハウとして蓄積できるようになりました。ありがとうございます。実践経験の言語化と整理は困難な作業でしたが、先生とゼミ生がひとつのチームとなって取り組み、自分では気づかない視点からさまざまな助言をいただけたおかげで、自分のこれまでの実践が言語化され、それらが意味を持ち、整理されていくというゼミの醍醐味を感じることができました。
北川:私はとにかくゼミの場は、みなさんが安心して自分の思いを素直に語り、自分に向き合ってもらえる場所であってほしいと願っています。皆さんは本当に熱い思いと豊富なスキルを持っているので、自然と院生同士で活発にやり取りが進み相互作用していけるように働きかけるのも教員である私の役割だと考えています。これまで実践経験してきたことに向き合って、自身の思いや経験で得たものをしっかり話し合えるのが専門職大学院の特長です。そのためにも院生のみなさんには、いつも自分自身の思いと向き合っていてもらいたいです。また、渡辺さんに限らず専門職大学院にいらっしゃるみなさんにお伝えしたいことですが、ここでの学びはゴールではなく、次の実践につなげるためのプロセスであり、さらなるステージに向かうための研究だということを心に留めておいてほしいと思います。
渡辺 達也 さん(左)× 北川 進 講師(右)
※インタビュー内容は取材当時のものです。