灯し、紡ぐ人

#02

学び手に探究心を灯し、紡ぐ
Chapter 01

興味関心を引き出し
ソーシャルワーカーとしての
素地を

母校である本学の教員となり、2年目を迎えました。他大学で福祉社会学を学ぶうちに社会福祉の魅力に目覚め、新たな学びの場に選んだのが本学の研究大学院でした。当時は、専門職大学院の授業も聴講。ソーシャルワークを軸に、多方面から社会福祉について学びました。ここで培った多様な知識や広く学ぶ姿勢が、教育者・研究者としてのベースになっています。

教育者として力を入れているのは「学生に興味の種を芽吹かせる」こと。医療、高齢、難民、災害、先住民、貧困・就労、女性・子ども、教育――。ソーシャルワークは実にさまざまな分野と関わりの深い学問です。ゆえに、専門性を高めるとともに、幅広い知見を持つことが大切です。主に1年生向けの講義で、先に挙げた分野の具体的な課題を紹介したところ、「こんな課題があるとは知らなかった」、「この問題の懸念点を理解できた」といった感想が寄せられています。福祉やソーシャルワークへの熱い思いを持ってはいても、具体的な社会課題の内容までは知らずに入学している学生もいるので、彼らの中にうまく「興味の種」を蒔くことができればうれしいです。私の授業を機に、さまざまな社会課題に着目し、深掘りしたい分野があればぜひ研究につなげてほしいものです。

ゼミでは各々が研究をスムーズに進めるために、研究計画書のつくり方や英語文献の読み方、研究目的に合った調査方法を指導。研究テーマについては、各々の興味を自由に探究できるよう、学生の主体性に任せています。

また、大学院生の指導においては、福祉現場に身をおく社会人学生も想定されるため、より実践に即した研究手法を指導したいと考えています。

社会変革への使命感を灯し、紡ぐ
Chapter 02

先住民研究をはじめとした 多彩な領域で活躍

私の専門分野は、主に文化の多様性に対するソーシャルワーク、国際社会福祉などです。特に前者においては外国人などに関する研究はあっても、アイヌや琉球民族などの先住民に関する研究はあまり進んでおらず、使命感にかられたのです。アイヌがどのような不利益や差別を経験してきたのか、行政はどのようなサポートを行い、どのような課題があるのか、それをソーシャルワークでどう解決できるのかを研究しています。現在は、北欧の先住民との比較研究も進めており、アイヌの事例にも活かせないかと考えているところです。

国際社会福祉に関しては、海外のトピックだけではなく、在日外国人などに関する課題にも焦点を当てています。例えば、日常生活を送るにあたり、言語の違いは一つの大きな壁になります。医療機関の受診時や災害などの緊急時に、母国語で説明を受けられるような制度が完備されているかというと、日本ではまだまだなのではないかと思います。こうした不利益を被る人々に、どのようなサポートができるかを考えるのが国際社会福祉の研究です。

また、最近ではLGBTQ+に関するソーシャルワーク研究などにも注力。生きづらさを感じる人が少しでも減るよう、貢献したいと考えています。

世に問う情熱を灯し、紡ぐ
Chapter 03

次代の担い手に望むのは
批判的思考と行政に
訴えかける気概

これからの学生に望むのは、批判的な目線で現在の社会制度を見つめ直すこと。昔に比べて社会問題が多様化している現代では、以前よりもさまざまな形で不利益を被っている人々がいます。時代の変化に合った社会制度の見直しが必要です。当事者と共に行政に訴えかけて、現行の社会制度を変えていく頼もしい存在となってくれれば、教員冥利につきます。各ステークホルダーと連携できる協調性や調整力もあればなお良いでしょう。

私自身の目標としても、研究活動や専門職団体・教育団体の委員活動などを通じて、社会に問題提起し続けていきたいという思いがあります。

Message

本学の魅力は、教員も学生も、良い意味で「研究者肌」、「マニアック」であること。ソーシャルワーカーを一般の資格職と考えるのでなく、探究すべき学問領域をもった職業ととらえている人が多いように思います。時に教員と学生の垣根を超えて熱い議論を戦わせることも。ゆえにハイレベルな授業を行うことができ、学生はもちろん、教員の刺激にもなっています。ぜひ本学に入学し、アカデミックな学びの雰囲気に触れてみてください。

大学案内の
資料請求をしてみる