灯し、紡ぐ人

#04

共助の理念を地域に灯し、紡ぐ
Chapter 01

そこに住む人々が
互いに支え合う理想的なまちづくりを

横浜市社会福祉協議会に入職したきっかけについてお聞かせください。

「誰もが安心して自分らしく暮らせる地域社会をみんなでつくりだす」という活動理念に共感し、入職を決めました。日本社会事業大学で学んだ、地域で困っている方々を同じ地域に住む方々が支えるという「コミュニティソーシャルワーク」と通ずるものがあり、ここでなら自分のやりたいことができると感じたのです。

入職から現在までどのような業務に携わってきたのでしょうか。

入職して最初の数年間は、金沢区社会福祉協議会へ出向していました。そこでは、災害ボランティア事業や障がいのある方々の余暇活動支援事業などに取り組みました。

次に配属されたのは、横浜市上白根地域ケアプラザです。ここでは、住民と共に地域づくりを行う地域活動交流コーディネーターとして所属。自治会町内会の役員さんや民生委員さんなど地域住民の方々と共に子育てのイベントを行うなど、福祉のまちづくりを目指した取り組みを進めました。

以降は第一子の妊娠・出産を機に現場から離れ、現在の職場である地域福祉課に配属されました。

その後、3人の子を出産。仕事と家庭のバランスを取りながら、市内18区の社会福祉協議会のサポート、地域活動交流コーディネーターや生活支援コーディネーターの方々に向けた各種研修などに携わっています。また、横浜市・区の社会福祉協議会内に地域支援の基盤となるコミュニティソーシャルワーク等への理解を広めるという役割も担っています。

非常に多くのご経験をされたのですね。これまでのお仕事で印象深いエピソードがあればお話しください。

2つあります。1つは金沢区社会福祉協議会で災害ボランティア事業を担当していたときのことです。東日本大震災復興支援事業の一環でボランティアバス事業を実施しました。その後、当時ボランティアとして参加された方が、自主的に被災地支援のためのバザーを行うようになったのです。今でもご近所の方々と共に活動し、収益は東日本大震災の被災地支援を行う団体に寄付されているそうです。また、直近の能登半島地震についても同様の支援を行ってくださっています。私たちの活動が、住民の方々による新たな地域福祉の取り組みにつながったことに喜びを感じました。

もう1つは、地域活動交流コーディネーターとして、地域の広報紙の企画・制作・発行に携わったことです。住民の方々と共に試行錯誤しながら、よりよい紙面づくりに奮闘しました。地域の方々が自分たちの住む町のために行う活動を間近で支えられ、深い充足感を覚えました。

礎となる学びへの感謝を灯し、紡ぐ
Chapter 02

福祉職としての指針を示し 気づけばいつもともにある

日本社会事業大学で学んでよかった点について教えてください。

福祉分野で高く評価されている日本社会事業大学だからこそ学べたことが多くあり、今でも進学してよかったと感じています。

相手の気持ちを受け止める「受容」、相手の心に寄り添い同意する「共感」といった福祉職として大事にすべき基本的な姿勢。地域住民自らが自分たちの住む地域をよりよくする「ケア・バイ・ザ・コミュニティ」という考え方、そして「コミュニティソーシャルワーク」。特にこれらの学びは卒業から時を経た今でも、日々の業務に生かされています。「あの時先生がおっしゃっていたのは、こういうことか」と深い納得感を覚える場面も。当時学んだことが、20年近く経った今でも変わらずに福祉の世界で大切にされているのは、日本社会事業大学の学びが福祉の本質を押さえているからに他なりません。

大学で身につけた素養は、今の私の軸というべきもの。不思議なことに、これまでに出会った卒業生もみな同じように、福祉職としてぶれない軸を持っていたように感じます。きっと、その方々にも大学の学びが深く根づいているのでしょう。
また、在学中に限らず卒業後も母校とのつながりに支えられることが多く、この点でも日本社会事業大学で学んでよかったと実感します。

福祉職としてのマインドを灯し、紡ぐ
Chapter 03

地域福祉に深く根づく
母校の学びを広めていく

今後の展望についてお聞かせください。

4回の産前・産後休暇、育児休業を取得できたのは、周囲の方々の協力あってのことです。現在も時短勤務など柔軟な働き方ができていることに、深く感謝しています。今後、自身の子育て経験を業務に生かすことで還元できればと考えています。

また、今の部署だからこそできることにも力を入れていきたいです。現在所属している地域福祉課は、現場の様々な取り組みを広く知ることができる貴重な部署です。そうした中で実感するのは、大学で学んだ福祉の「基本」が、さまざまな地域福祉の「実践」に生かされているということ。今後も組織内外の研修等を通じ、コミュニティソーシャルワークをはじめとした地域福祉の考え方を多くの方々に伝えていきたいです。そして、身につけた「基本」を日々の「実践」に生かしてくださる方が増えれば、こんなに嬉しいことはありません。

Message

ふと芽生えた興味・関心を大切にしてください。どんなことが将来につながるか分かりません。私が福祉に興味を持ったのも、高校時代に偶然見つけた、介護が必要な高齢者の新聞記事がきっかけでした。あの記事を読んでいなければ、日本社会事業大学、そして今の職場とも出会えなかったかもしれません。現代はテレビ、新聞、書籍、SNSと情報源には事欠かない時代です。ぜひそれらを活用し、気になっていることを少しでも掘り下げてみてください。きっと、新たな世界が待っているはず。何事も、まずは一歩踏み出してみましょう。

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